天阿上人(てんなしょうにん)
天阿上人は、江戸時代初期の真言僧で仏教的稲荷信仰を広めました。伏見稲荷にあった愛染寺の第三代住職です。荼枳尼天と稲荷との一体説を中心に布教しました。平安時代から、荼枳尼天は稲荷と習合していましたので違和感はないかと思います。ただ、天阿上人は、これに聖天や弁才天なども加えています。また、醍醐寺との関係も強く、そのため醍醐寺系の修験道(当山派)とも結ばれていたと考えられます。
天阿上人の著作と伝わる「稲荷一流大事」は、まさに荼枳尼天の修法です。さらに、これと関係した経で、天阿上人の著作と伝わる『稲荷心経』がります。この経の最後に唱えられる「稲荷真言(オン キリカク ソワカ)」は、荼枳尼天の真言になっていて、荼枳尼天と稲荷が一体となっています。
天阿上人は、狐憑きを退散させる法も広めました。この修法は、愛染寺でないと教えてもらえないものです。多くの験者が学んだと言われています。ただ、愛染寺は現存しません。愛染寺の荼枳尼天は、天阿上人が晩年住職となった神照寺に、現在祀られています。
画像:神照寺
画像出所:滋賀琵琶湖観光情報
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